2026-04-04
境界知能の小学生の育て方|勉強だけできない弟の実体験
はじめに
弟はIQ68で、現在26歳です。この記事では弟の小学生時代を振り返ります。
小学校は、境界知能の子供にとって最初の壁です。幼児期には「やんちゃな子」で済んでいたことが、小学校に上がると「できない子」に変わります。
弟の場合、低学年の頃にはすでに支援級に移っていました。
勉強だけができない
小学校に上がって、弟の「できないこと」が浮き彫りになりました。特に算数と国語。
うろ覚えですが、弟が「数字の3が逆に見えて読めない時がある」と言っていたのを覚えています。今思えば、学習障害(LD)の兆候だったのかもしれません。
一方で、スポーツは万能でした。サッカー少年団では僕と同じチームに入っていて、スタメンで出ていました。体育は同級生と一緒に受けていたし、運動面では何の問題もありませんでした。
「勉強だけができない」。これが境界知能の小学生の典型的なパターンです。勉強以外は普通すぎて、支援級に行かなければ誰もハンディがあることに気づかなかったと思います。
釣りと昆虫:弟が輝いていた場所
弟はこの頃から釣りと昆虫が好きでした。
好きなことへの知識はすごかった。魚の種類、虫の名前、どこで何が釣れるか。勉強はできないのに、興味があることへの記憶力と集中力は驚くほどありました。
これは境界知能の子に多い特徴だと思います。IQの数値だけでは測れない能力がある。テストでは0点でも、好きなことでは専門家並みの知識を持っていたりする。
勉強ができないからといって「何もできない」わけではありません。弟にとってのサッカーや釣りのように、「この子が輝ける場所」は必ずあります。それを見つけることが、小学校時代に親ができる一番大事なことだと思います。
喧嘩が増えていった
小学校時代、弟は友達との喧嘩が増えていきました。噛み癖は特にひどく、親が相手の親に謝りに行くことも何度もありました。
今振り返ると、喧嘩が増えた理由は「言葉で伝えられないから」だったと思います。勉強ができないストレス、友達に馬鹿にされた悔しさ、自分でもなぜできないか分からない苛立ち。それを言葉にする力がなかったから、手が出ました。
家では父親にぶっ飛ばされていた記憶があります。暴力に暴力で応じる形になっていて、今思えば悪循環でした。
親の対応について
正直なところ、この頃の親の対応はあまり覚えていません。ただ、よく怒っていた記憶はあります。
弟が問題を起こすたびに怒る。でも怒っても行動は変わらない。なぜなら弟は「なぜダメなのか」が理解できていなかったからです。
境界知能の子に「なぜダメか」を説明しても、抽象的な話は入りにくいです。「人を噛んだらダメ」は分かっても、「なぜダメなのか」「代わりにどうすればいいか」まではすぐに理解できません。
母親は弟の連絡帳や先生からの報告をずっと残していました。後で療育手帳や障害年金の申請時に、これが役に立ちました。小学校時代の記録は将来の手続きで必ず聞かれます。当時はそんなつもりで残していたわけではなかったと思いますが、結果的に最も重要な記録になりました。
支援級という選択
弟は低学年から支援級に移っていました。この選択は結果的に正しかったと思います。普通級にいたら勉強についていけないストレスでもっと荒れていたかもしれません。
ただ、支援級に行くことで「あの子は障害がある子」という見られ方をされてしまいます。弟本人がどう感じていたかは分かりません。でも後に支援学校を脱走したことを考えると、「自分は普通だ」という意識はこの頃からずっとあったのだと思います。
普通級か支援級かの判断に正解はありません。ただ、判断するためにはお子さんの特性を把握しておく必要があります。何が得意で何が苦手か、どんな場面で困っているか。それが分かっていれば、先生との面談でも具体的な話ができます。
最近、僕の同級生で中学校の教師をしている人にヒアリングをしました。現場の実態として、親のエゴで支援級に入れない選択をする家庭が多いそうです。周りの目を気にして「うちの子は普通だから」と普通級に置き続ける。気持ちは分かります。でも、親が周りの目を気にして合理的な判断ができないのは、結果的に子供を追い詰めます。
弟の同級生に、境界知能でありながら支援級に入っていなかった子が2人いました。1人は今も地元で働いています。もう1人は犯罪を犯し、ニュースになりました。違いは何だったか。家族のサポートと、その子に合った環境を用意できたかどうかです。
お子さんの傾向をしっかり分析した上で、感情ではなくデータに基づいた判断を下すこと。それが後々の後悔を防ぐ唯一の方法だと思います。
小学校時代の親へ
弟を26年見てきて思うのは、勉強ができるかどうかよりも「自分に合った環境を見つけられるか」の方がずっと大事だということです。
弟は勉強はできなかったけど、サッカーではスタメン、釣りや昆虫では誰にも負けない知識がありました。それが弟の自信を支えていました。
小学校時代にできることは3つです。
1. お子さんの「できること」を見つけること。 勉強以外の場所で輝けるものが一つあるだけで、本人の自尊心を保てます。
2. 比較しないこと。 幼児期の記事にも書きましたが、兄弟や同級生との比較は自尊心を削るだけです。
3. 記録を残すこと。 連絡帳、先生からの報告、気になったこと。将来の手帳申請や年金申請で必ず使います。
僕たちが作っている「ヨゾラ」は、相談するだけでお子さんの特性が自動的に整理されるツールです。勉強のこと、友達のこと、得意なこと。今のうちから記録を蓄積しておくことで、将来の進路選択にも役立ちます。
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ヨゾラ
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