2026-04-04
境界知能の成人後の暮らし|自立・年金・親亡き後のリアル
はじめに
弟はIQ68で、現在26歳です。この記事では弟が成人してからの暮らしについて書きます。
成人後は、親にとって新しい不安が始まります。「子育て」は終わったはずなのに、心配は終わりません。むしろ成人後の方が深刻な問題が増えます。
お金、仕事、人間関係、そして「親が死んだ後」。幼児期や学生時代とは次元の違う課題が出てきます。
成人後に起きたこと
弟が成人してから起きたことを書きます。
仕事が続かない。 10回以上転職しています。コンビニ、旅館、反社関連の会社。1ヶ月もてばいい方でした。反社の会社では暴力を振るわれ、ニュースにもなりました。弟のように判断力が弱い人は、悪い大人に利用されやすいです。仕事を選ぶ力が弱いから、「入れるところ」に入ってしまいます。
借金が発覚。 悪い大人に消費者金融を勧められ、100万円の借金が発覚しました。
暴力が増えた。 仕事のストレスが溜まると、母親に対する暴力やものに当たる回数が増えました。8個下の妹への暴言、ピアノの破壊。家族全体に影響が広がりました。
家を出された。 母親が限界に達し、兄の僕と妹が「もう限界だ」と伝え、弟を家から出す決断をしました。
自力で生活を始めた。 弟は友達の車で地元を離れ、県内の別の街で自分で仕事を見つけてくるようになりました。
「縁を切る」と伝えた母親の決断
ここ2年で、母親は大きな決断をしました。
弟に「縁を切る」と伝えたのです。
さらに、あえて連絡を取らない期間を設けました。
これは放棄ではありません。覚悟です。甘えられる場所をなくすことで、弟が自分で考えて動くしかない状況を作ったのです。
結果、これが功を奏しました。弟の発言や態度が明らかに良くなり、だいぶ成長したと思います。
「甘やかさないが、陰でサポートする」。母親がたどり着いたバランスはここにあります。表向きは突き放す。でも裏では携帯に位置情報アプリを入れて安全を確認し、療育手帳や障害年金の手続きを進めています。
今の弟:建設業で働いている
直近でまた転職しましたが、今は建設業界で働いています。
10回以上転職を繰り返した弟ですが、最近はだいぶ落ち着いてきました。「縁を切る」と伝えた効果もあると思いますし、年齢とともに少し大人になったのかもしれません。
これから先も色々あると思います。でも一定の生活はできています。
お金の管理:本人は障害年金の存在を知らない
お金の管理は、現在はほぼ本人に任せています。
ただ、たまに使いすぎることがあります。その時は障害年金から補填しています。
弟本人は、障害年金をもらっていることを知りません。
これは母親の判断です。弟は自分を「普通」だと思っています。「障害年金」という言葉は弟のプライドを傷つける可能性があります。さらに、年金の存在を知ると「働かなくてもお金がもらえる」と甘えてしまうリスクもあります。だから知らせていません。裏で管理し、困った時のセーフティネットとして使っています。
障害年金の申請自体は「アホみたいに面倒だった」と母親は言います。病歴の申立書を作成するのに小学校時代まで遡る必要がありました。母親が連絡帳や先生からの報告を残していたから何とかなりましたが、記録がなかったら申請できなかったと思います。
療育手帳の現実
療育手帳の更新も大変です。本人1人では難しく、親の付き添いが必要です。更新場所が遠方にあり、交通費もかかります。
母親は「結局療育手帳がないと何の支援も受けられない」と言います。手帳中心の制度設計への不満は大きいです。
一方で、手帳なしでも使える制度はあります。自立支援医療、就労定着支援、日常生活自立支援事業(金銭管理の代行)、地域活動支援センターなど。これらの情報は自分から探さないと誰も教えてくれません。
「親亡き後」の不安
母親の最終的な願いは「親の死後、自立して生活できるようにしたい」です。
弟は今、一人で生活できています。ただ、お金の管理は母親が裏でサポートしています。障害年金の管理、使いすぎた時の補填。このサポートがなくなった時にどうなるか。
選択肢としては成年後見制度やグループホームがありますが、弟は「自分は障害者じゃない」と思っているので、受け入れるかは分かりません。
「本人が支援を拒否している間はどんな良いサービスがあっても意味なし」。これが母親の実感です。
成人後の親へ
成人したからといって親の役割は終わりません。むしろ、お金・仕事・法的手続きなど、より複雑な問題が出てきます。
弟の経験から伝えたいことは3つです。
1. 記録は残しておく。 障害年金の申請、手帳の更新、どれも過去の記録が必要です。今からでも遅くありません。
2. 突き放す勇気も必要。 甘やかし続けると自立しません。弟の場合、「縁を切る」と伝えたことが転機になりました。ただし完全な放置ではなく、陰でのサポートは続けています。
3. 一人で抱えない。 母親は長年一人で全部やってきました。それは限界があります。きょうだい、支援員、同じ経験をしている親。誰でもいいから共有できる相手を持つこと。
僕たちが作っている「ヨゾラ」は、相談するだけでお子さんの傾向が蓄積され、使える制度や対応策が見えてくるツールです。成人後も親の不安はなくなりません。その不安を一人で抱えないための場所として使ってもらえたらと思います。
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ヨゾラ
きょうだい児が家族と一緒に作っているサービスです。生きづらさを感じている人に、その人に合った答えを届けます。